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講演:メタボリックシンドロームを改善するための食生活 / 河野武平 |
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食生活によるメタボ対策として当フォーラムにおいて「メタボリックシンドロームを改善するための食生活」をテーマした講演を行った。
但し、時間が20分と限られており、食生活のこれまでの歴史的な経緯から説明するにはあまりにも時間がなく、その上スタートの段階でパソコンがタウンし、不完全な説明で終わりホームページにおいて詳細な説明をしたい。 私は、本日の主催している、けいはんな新産業創出・交流センター(旧アイアイ・エス)のボランティアに参加し足かけ8年になる。この組織は関西から新しい産業創出を目的として1999年に発足された。 バブル経済が崩壊し、商都大阪から世界に発信できる、新たなビジネスソフトが生まれていない。商都大阪として経済地盤が沈下している象徴的な現象であり、新しいビジネスソフトのスタイル、ITビジネスの多くが東京から発信されており、大阪は21世紀の商都として大きく出遅れてしまった。 しかし、今日の議題、「メタボリックシンドロームとその腹囲の計測」は大阪大学から世界に発信された予防医学のソフト技術であり、簡単に解りやすい予防の概念であり、このソフトをどのようにして熟成させ成長させるかが関西企業の課題でもあり本日のテーマでもある。 本日の私の課題は、食生活からメタボリックシンドロームをどのようにして改善すべきかである。 現在の食生活の問題は、戦前~戦後の食糧難の時代から、食生活の変化の全体を捉えると、メタボリックが多発した問題点が解りやすい。 戦後の混乱期から食生活は大きく5回の変化がみられ、食生活の変化は常にその時代の経済的に左右されている。
この数十年間で農業生産の現場がどのように変わってきたかを振り返っておきたい。 経済が成長する前は、農業は自然との共生、四季にあわせて生産のサイクルを作り上げていた。経済成長は、同時に世界的価格の競争であり、如何に安く生産コストを下げるかが課題であった。そのために品種の統一、規格の統一、生産規模の拡大が頂上指命となり、従来の生産のスタイルが一変していった。 水稲では、圃場の大型均一化、品種を統一し量産型に転換し、機械化農業に転換した。園芸作物は、施設園芸に転換し、周年栽培型、と栽培期間の短縮、出荷サイズの規格化が進められた。 家畜は、大型施設の飼育スタイルと、飼育期間が大きく短縮された。 水産は、漁獲から養殖と栽培漁業に、そして規格化し量産型に転換していった。 価格競争に打ち勝つために変化した生産や栽培、飼育によって経済的に安価にいつも食材が手に入り、所得の違いに対しても、どの地域でも、基礎栄養素を十分に摂取できることでは、体格の変化や平均寿命が伸びで見られ、成功に見えるが、その反面、健康面を全体で捉えると全てがハッピーではなく、社会的な環境問題が潜んでいた。 野菜の促成栽培では栽培期間が短縮でき、従来75日から90日掛けて生産されていた葉の野菜が25日~45日で生産され、価格の安定と農家手取りの増収では成功であるが、野菜に含まれる高濃度の硝酸、亜硝酸が、主流になり健康面では疑問な野菜が氾濫した。葉の野菜では、5000ppmを超える硝酸濃度の野菜や100ppmを超える亜硝酸の野菜が見られる。 同時に園芸産地土壌は慢性的な窒素肥料の投下から地下水の硝酸塩濃度が高まり、飲用水の基準を遙かに超える地域が見られ、同時に農薬などの公害問題が多発している。 水稲地域では、圃場の規格化から機械化が進み、農薬の除草剤、殺虫剤などによる効果で、水稲栽培の重労働から解放され、労働作業の効率化は進んだが、除草剤による健康問題、特に多くの水稲地域では、今も胆嚢ガン、膵臓ガンの多発地域が残されている。 家畜の飼育は、養鶏では一つの鶏舎で、10万羽から20万羽を一単位として飼育しており、ブロイラーの飼育期間は従来の200日から、75日~90日単位がワンサイクルで飼育されている。出荷時の重量は従来とそれほど大きな違いがなく、24時間休まずに餌を与え続け早いサイクルで飼育することで経済効果を求めることでは、成功であるが、そのためには、多くの抗生物質の投与されている。豚や牛も同じで早い成長を求め、多くの成長ホルモン剤が投与されている。10年は飼育し、搾乳する乳牛も今では、6年前後で、廃牛になっている。 廃牛も牛肉として流通している。脂肪質の多い家畜の飼育では成功であるが、脂肪過多の肉類が安い肉として販売されている。 同時に大規模飼育による廃棄物の処理は同一地域に蓄積され、土壌の窒素過多から地下水に汚染が広がり、最近では、河川の下流域ほど、抗生物質に対する耐性をもつ菌類の増加が今後の環境問題として指摘され始めた。 次に食品の素材としての価値、基礎栄養成分の変化はどうなってきたか、野菜では、栽培期間の短縮はミネラルやビタミン類、微量栄養素の含有量の低下が激しく、家畜では、脂肪過多の反面タンパク質やミネラル類が低下している。 多くの食材がメタボリックシンドロームに至る環境で生産されており、摂取している食材がメタボリックになっている。日本のメタボリックシンドロームは食物連鎖によって生じている問題でもある。 情報過多の社会環境は、往々にして睡眠時間が不足し、ストレスから過食している状態と、家畜の睡眠させずに餌を連続的に与え、脂肪過多で飼育している状態はあまりにも類似した環境である。 国民が摂取する食品の安全を捉らえる行政機関はどうか、基礎栄養成分の分析は科学技術庁、お米の分析は大蔵省、栽培や生産は、農林水産省、栄養計画は厚生労働省。 輸入食品は食品全体の60%を占めるがその栄養成分の分析はどのようにされているのかは全く明確ではない。米国のFDAが提出している基礎栄養成分の分析データと日本では大きな格差があるが、その格差はなぜか。 栄養計画がメタボリックシンドロームでは欠かせない作業であるが、基礎ベースはどの数字なのか、明確ではない。食品の安全を追求する以前に見直しが必要である。 食品に掲示されている成分分析も4訂、5訂の数字なのか、調理前の数字か、調理加工後の数字なのかも明確ではない。全ての基礎ベースとなるカロリー計算に既に問題点が多い。 既往症の食事として提供されている計画された日々の指導調理には常に問題が多い。 写真は小松菜の密植栽培されている状態であるが、この栽培で問題点を指摘できる流通業者や消費者は少ない。管理栄養士の方々は理解されているのか? ![]() この写真は3月1日の京都である。 硝酸イオンの濃度は、最低3500ppm 最高5800ppmの開きがある。 ![]() ![]() 表ー4は平成17年10月1日の6大都市の高齢化率と、要介護者の比率である。大阪市は既に高齢化率は20%を超えており、全国の政令都市でも、北九州に次いで高齢化が早くなっている。高齢者に対する要介護者の比率は20%を超えている。健康年齢とされている年齢は、平均寿命から女性は8才、男性は6才引いた年齢とされているが、要介護人口を75才以上の人口の比率で見ると、大阪市は実に49.8%にもなる。 要介護の疾患は山口県の例で示しているように、その約半分は脳血管疾患と心疾患が占めていると予測できる。 本日の演題「メタボリックシンドロームへの挑戦」は正に大阪市の問題として捉えなければならない課題である。 表ー4 六大都市の高齢化率と要介護比率
※健康年齢、男性は平均年齢から6歳、女性は8歳を引いた年齢 ※75歳以上の人口と要介護人口の比率 次に表ー5を見ると大阪市の財政難がよく解る、他の6大都市よりも家計収入に対して歳出が大きい。その要因には、これまでの無計画な事業の失敗も大きいが、市民意識によって解決できる課題があることを示している。市民一人あたりが廃棄するゴミの量が際だっている。家庭から出されるゴミの30%~35%は食材に介在するゴミとされている。ゴミは収集と焼却に多大な予算が加算されている。横浜市と市民一人あたり、約300kgに近いゴミが年間出されている。横浜市よりも人口が約95万人少ない大阪市はゴミの処理費用では年間で80億円多く費用が掛かっている。 家庭から出されているゴミの廃棄量から見ると大阪市民は他の6大都市よりも食い散らかしていると見られても、反論が難しい。 大阪は食い倒れと言われてきたが、食い散らかして、他の6大都市よりも多くの要介護者が見られ、食い倒れているわけにはいかない。 大阪市の財政から見ると市民力で解決する以外に大阪市の活性化は困難であり、食い倒れから21世紀は「食い起こし」に転換する必要がある。 表ー5 六大都市、一人あたりの生活格差(平成17年度、大都市比較年表より)
大阪市、京都市、神戸市の量販店や百貨店で販売されている食品に格差がないが、死亡疾患の年齢では大きな格差があることは、これまで糖尿病や既往症の栄養指導が食品素材で指導していることだけではないことを示している。食材の総カロリーからの指導だけでは正しい指導になっていないことを示している。同じ食材を使っていても、「どのように調理しているか、どのように食べているか」にこれまで触れていない。3都の死亡年齢の格差は、食生活からメタボリックシンドロームの改善が可能であることを示している。 カロリーオーバーを運動で解消することは大切な解決手段であるが、食べることが日々であるように運動も日々継続しなければ、意味をなさない。過去10年間散歩を継続しているが、この10年間散歩を継続できている人は、限られている。散歩だけが目的の人は続かない。 カロリーの調整には、正しい調理方法を身につけることが欠かせない指導と考えられる。 2004年から、武庫川女子大学が主催で「関西圏の人間文化についての総合的研究」の研究が文部科学省の助成で立ち上がった。その中で関西の食文化について、最後の報告書をまとめ提出する機会があり「京都、大阪、神戸の食生活の違いとメタボリックシンドロームの関係」と題して2008年4月の末にまとめ、ホームページにも掲載します。 京都、大阪、神戸で販売されている生鮮3品が大きく変わらないが、ではなぜこれほど市民の健康に違いがあるのか? 例えば、3都の食材の消費量を比較すると、メタボリックシンドロームになりやすい食材の一つ、牛肉が上げられる。牛肉は飽和脂肪酸が多く、カロリーも高い。3都で、牛肉の消費量は京都が一番次が大阪、神戸である、豚肉は、大阪、京都、神戸、野菜は、京都、大阪、神戸、果物は、神戸、京都、大阪、ではバターは神戸、京都、大阪。京都のメタボリックシンドロームに影響しやすい食材の消費量は、大阪よりも多い。 料理に加える調味料では、神戸はドレッシングを好み、大阪はソースとマヨネーズ、京都は醤油やみりん、酢そして味噌の消費が多い。 食材から見ると京都は決して低カロリーの食生活ではない。できあがった調理品の総カロリーに違いがあると考えられる。 3都には、調理の方法、調理加工の歴史的な違いが見られる。 京都は煮る調理が多く、低温で時間を掛けて調理する。タンパク質を変性させない低温調理が多い。脂肪分や灰汁を除いて出汁を引き調理する。味覚全体に薄口である。食事の摂りかたも、ゆっくりである。 大阪は直火の調理やフライパンに油を加えて強火で加熱する調理を好み、ソースやマヨネーズをたっぷりと使う。甘口の京都よりも少し濃い味覚を好む、その上に早食いである。 神戸は、バターやチーズを加えた味覚を好む。果物や生野菜の摂取が多く、欧米食のようにパン食やコーヒー、紅茶の消費量が多い。 同じ食材を利用しても調理の方法に違いがあり、食べ方の好みに違いがある。大阪は大きく盛り、腹一杯になる食べ方を好み、京都は少しづつ、器を重ねることを好む、神戸は優雅な雰囲気を好む。 世界が認める健康的な日本料理とは、京風の料理を言う。 人口動態調査は3都の死亡疾患と死亡年齢を克明にデータ化されており、その検体数は百万人単位である。これほど正確な健康へのデータは世界には存在していない。同一人種で食べている生鮮3品は同じ時期に同じ産地で栽培や飼育されているが、調理の違いによって、食べ方によって、健康状態が大きく変動することを示しており、同時に市民の環境への配慮、モラルが健康にも影響していることを示している。 食べると言うことは、自己満足だけではなく、地域との共生によって維持でき、個々の健康は社会的なモラルと一体であることを示している。 多くの家庭で調理される機会が少なくなっている。主婦の責任からも食生活の改善を他人に任せる物ではない。 同時に簡便で、安く、誰もができ、その上美味しくできる調理方法が望まれている。料理は経験も大切であるが、料理が美味しくできることは、科学的であり、クリエイティブな要素が大きい。味覚の判断は子供の頃からの訓練と意識である。シンプルな味覚が判断できるほど、よりシンプルな味覚が楽しめる。濃厚な味覚に馴れるとシンプルな味覚の判断ができない。京料理の良さであり、歴史的に積み上げた食文化である。 フランス人の科学者エルベ.ティスは料理から付く上げられる味覚の成功は、分子ガストロノミー効果の表れと説明している。 これらを解決する簡単な方法がないかと長年模索し、解決したのが、この磁性鍋である。この成功には、大阪大学大学院特認教授の柳田祥三氏が2001年立ち上げられた「マイクロ波エネルギー応用研究会」に参加でき、これまで未解決な事例が整理できたことと、旧アイアイエスのボランティアメンバーによる支援がなければ基礎実験が進まなかった。どの家庭にも使われている電子レンジの効果的利用によって磁性鍋は作られている。 マイクロ波は2.45GHzの波長でありこの波長を水やアミノ酸が吸収する波長、2.3μm~20μmの範囲をピークに200℃で輻射する素材を突き止め、陶磁器に焼結し、仕上げている。この鍋の効能は、私のホームページに掲載しており、実験データとその良さは、次に講演いただける山口静枝準教授から説明いただける。ご静聴ありがとうございました。 |
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