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なぜ、メタボリックシンドロームは増えるのか

メタボリックシンドロームをはじめ数々の疾患を生み出した現代人の食生活。健康的な食事は健全な食材から得られ、健全な食材は健全な自然環境の中で育まれるものです。

メタボリックシンドロームを増加させた原因

■病の国、日本
家庭の顔は、子供の顔であり、主婦の顔である。誰もが健康な顔を望む。
国家の顔は国民の顔である。
最近景気は回復したとされているが、東京の朝、通勤電車のサラリーマンや学生の顔は決して健康な顔ではない。若年層にハツラツとした経済を引っ張る活動的な顔が意外に少ない。
子供達が通学していく顔を見ても、夢や希望を抱いている子供らしい元気な顔は極端に少ない。
共通していることは、歩いている子供や青年層の目線が全て下を向いている。
長く低迷していた経済が景気の回復によって国民の生活が安定したとする経済指標が出されているが、メタボリックシンドロームを始め、多くの慢性的疾患が多発していることは、生活の実態は厳しさを写し出しており、病んでいる。

国民の病には、それぞれに明確な原因がある。
これ程多くの国民が病に罹患している社会構造を作り出した行政と政治の責任は重く、明確な対処方法を確立し速やかに行動に移す必要がある。
罹患には、罹患した患者にも責任があるが、あまりにも長期間、対処方法を明確にせずに放置されてきた現実を行政と政治は認めなければ、新たな健康への指標を掲げても、半信半疑になり改善への道は開かれない。
高齢化とメタボリックシンドロームの増加に対する対策は、根底から食生活のあり方と食料の品質の見直しが必要である。農業政策と食糧政策の根底が間違っている。
これまでは、食料の量的確保が食糧政策であったが、量的な確保を達成されているにも関わらず質的改善に全く目を向けていなかったことに原因がある。


■サプリメントや医学では解決しない健康問題
健康と環境は一体であり、国民の健康は正しい食事によって維持できる。
健康的な食事は健全な食材を調理し摂取して得られ、健康的な食材は、健全な自然の環境が維持されて始めて安定した栽培が可能になり、自然の環境と健康は一体である。
地域環境の悪化を無視し、継続して生産された食物は、必ず基礎的栄養成分や組成に疑問点があり、その疑問点は調理し摂取を続ける人々の身体の細胞に影響している。
不健康な環境を放任した条件で作られた作物からは、どのように調理し摂取しても健康な身体を維持することは困難である。予防は、健全な食材を適性に調理し、摂取されて始めて可能になり、薬やサプリメントの摂取が予防ではない。予防は薬やサプリメントの研究だけでは解決にならないし、医薬学的進歩だけでは解決できない。
農産物の品質の低下は、基礎的なアミノ酸、ミネラル、ビタミンの含有量に表れ、基礎的栄養素の含有量は低下の一途を辿っている。劣化している農産物のタンパク質がどのような構造を示しているのか、その分析がされていない。
現状では、自給率の改善を求める声とは裏腹に、生産額の減少、品質の低下は、共に歯止めは掛からず、行政、政治共に無責任に放置している。農産物の品質低下と自給率の低下と国民の医療費の増加は正確に半比例している。

メタボリックシンドロームの増加は、健康的な食材が安定し生産されておらず、家庭では健全な調理がされていないことが最大の原因である。

農業生産における、基礎的な理念が行政、政治そして生産者に欠如しており、消費者は農産物を量販店に陳列している商品だけを捉えて見ていると環境や自然への責任制が薄れがちになる。

■農業の衰退がまねく健康被害
循環型農業の再構築は健康な食生活では欠かせない国民的課題である。
農業の衰退は嘆かわしく、虚しい、そして痛ましい。
農業の衰退は、生産者の責任として放置できる問題ではなく、国民全体の大きな課題である。国民の1900万人近くがメタボリックシンドロームの罹患者であることは、これまで30年近く、農業生産を疎かにした結果が、現実に罹患者の数となって表れている。
農業の衰退は国民の健康に大きく影響することが見え始めてきた。

農業生産は健全な環境によって生かされ、健全な環境を継続し維持する作業であり、環境との共生によって、持続性を高める。
生産の安全性の高さは自然との共生によって高まる。生産技術は自然との共生によって高まり、生産技術の高さは基礎栄養成分の含有量によって示すことができる。
基礎的栄養成分の含有量は生産の安定と安全性が維持されなければ得られない。
環境負荷が大きい圃場ほど雑菌や昆虫に汚染され農薬が必要になる。
広い大地は、機械化には便利であるが、環境負荷が大きくなる、風の影響、集中的な降雨の影響、ウイルス等の伝染、そして安定した水利にコストが掛かる。
機械化による生産性は広大な大地ほど高くなる。
大規模農業を維持するには、機械化と農薬、化学肥料が欠かせない条件になる。農産物に含まれる基礎的栄養成分や農産物の責任制は大規模農業ほど稀薄にりやすい。
畜産の飼育も同じである。
国は40年間大規模農業、大規模飼育を推進してきた。
その結果、一時的には量的な確保が可能になり成功の兆しが見られた。しかし、日本の大規模化の多くは成功ではなく、経済的な破綻から衰退の原因を作りだし、畜産の大規模化は環境汚染を拡大させた。
農産物の基礎的栄養成分が大幅に減少し、国民の健康に広く影響が示された。
野菜は、品種、栽培地、栽培方法、栽培時期、その年の気候、保存期間などで基礎的栄養成分は大きく変動する。その較差は数倍から数十倍になる。
変動較差は、アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類、糖度に多く、4~7倍程度の差が生じる。果実や魚類、肉類も全く同じである。カロリー計算の基礎になっているタンパク質、炭水化物、脂肪も同じように変動している。
残念ながら、食品素材に含まれる基礎的栄養成分はこのデータよりも多いことは先ず少なく、含有量が少ないことが遙かに多く、代謝に必要なアミノ酸、ミネラル類、ビタミン類が不足する。多くの疾患は代謝によってゆっくりと改善していく。
人間の細胞は、食事によって作られており、多くの疾患は一定の代謝の経過によって改善していく、代謝に必要な基礎的栄養成分の摂取不足は、疾患の改善に結びつかない。場合によっては症例の悪化を引き起こす。
食事の量も大切であるが、実体に合った栄養成分量を食事から摂取されなければ、栄養指導の意味をなさない。
薬やサプリメントを進めることが食からの予防や栄養指導ではない。


■栄養指導の間違い
病院や施設の調理現場を見ると素材の品質が問われていない場合が多い。
利用されている食材の選択は価格によって選択されている。
価格に重きがおかれると品質は二の次になり、数量と品目が揃うことが購買の責務になる。品質が低下している食材をどのように調理しても基礎的栄養成分は増加しない。
素材の味覚も低下している。
味覚が低下した素材を調理するには調味料に依存し味覚を整える以外になく、一層健康や予防医学には背反する調理になる。
美味しい調理は食材の品質、組成の安定が基本である。美味しく仕上げる事を怠って、健康的な調理品は作れない。
病院食や施設の給食の問題点である。
多くの現場で正しい食材の選択が出来ていない。正しい食材を選択する知識が栄養指導を行っている現場に極端に少ない。
食材の選択は個々に分析するよりも、味覚の良し悪し、姿、形状、色調に表れ、美味しく調理できる素材の選択が基本である。
人の健康が顔色や皮膚の艶、姿で判断できる事と全く変わらない。
これまでの栄養指導のあり方は机上データから判断されており、農業生産の実態と懸け離れている。管理栄養士の方々は生産現場に足を踏み入れ、生産物を知り、栄養計画を建てなければ栄養指導の意味をなしていない。

多くの農産物の生産現場は連作による品質劣化が見られ、農産物の基礎的栄養成分が不足している。この原因は価格重視、経済性の追求から品質よりも生産量に重きが置かれた。その結果、農業の生命である健全な生命体を育成する責任制が薄れ、環境汚染だけが蔓延した。一方、国民の栄養計画の多くが、農業生産の現場を見ずに机上論だけで栄養計画を立て、実態と懸け離れた栄養指導が進められていることが多くの疾患を蔓延させている。
医師や介護士の方々の栄養指導も農産物の生産状態から判断された指導ではなく、実態から懸け離れた机上のデータから指示されており、栄養指導に矛盾が多い。



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